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「硫黄島からの手紙」長編レビュー January 20, 2007

Posted by marr0528 in Uncategorized.
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遅筆なMarrさんが、やっと書き終えた長編レビューです。

はじめに

過去の戦争を見つめ直す。私たちの暮らす社会が平和ためにどうしたらいいかを考える、そんな活動を高校生の頃にしていた僕にとって、戦争を扱った映画は避けて通れないのです。

年末に

「父親たちの星条旗」に続き、クリント・イーストウッド監督の描く日米双方からの視点で描く硫黄島玉砕、「硫黄島からの手紙」。夫婦ともども、これを観ずには年が越せないという意気込みで、12月30日の深夜に大掃除は取りあえず置いておいて夜の六本木で観て参りました。

戦争映画の伝えるべきメッセージ

戦争映画を観るたびに感じるのは、あとに残るむなしさです。戦場には、様々な人々、人柄、人生そして運命があるのに、すべてが一つ大きなうねりに翻弄される、そして今回の場合にはそのほぼすべてが玉砕する。監督が伝えるメッセージとしては、これで十分だと僕は思います。この映画ではそれが十二分に果たせた。では、その伝え方はとして、どうか?

そのリアリティ

戦争映画の難しいところは、どんなに最新の技術を使っても、本当の戦争を観客に伝えることは出来ないこと。リアルな印象を与える音響や、血しぶきや肉塊が飛び跳ねるCG効果、なにより映画館の大きな画面で見ているわけですから、心理的に与える印象は相当なものですが、それらは結局のところ本物ではない。僕たち観客にとってはどこか、ちがう世界の話になってしまう。それは安心感でも、ある種の危険でも、あると思うのです。でも、今回はいつもとちがってなぜか、登場人物たちをぐっと身近に感じることができた。それは何故か。

或るギャップ

僕たちが日本人だからなのか。それももちろんあると思いますが、原因はきっと或る「ギャップ」のせいだと思うのです。

外国人の監督が日本文化を描くと、観客として必ず感じさせられるおかしなギャップが、今回は不思議なほどありませんでした。また、きれいな格好をして今時な(というか古めかしくない)言葉を話す映画の中の軍人たちに対して、歴史考証はさておき、文化的におかしいなと思う感覚のギャップもなかったわけです。

でも、あとから感じたのは、これは僕たちの世代からすればギャップはないんだろうけど、より戦争に近い世代からするとギャップを感じるのだろうという点でした。アメリカ人であるイーストウッド監督から硫黄島の軍人たちまでの距離と、僕たちから戦時中の人たちへの距離が、きっと同じくらい隔たっているのでしょう。これが、良くも悪くも僕にとっては新感覚なところでした。

気になったのは

気になった点は、情報量の少なさです。きっと、戦時中の日本や歴史に関する知識がないと、今の若者はもちろん、外国の人たちには分からないことが多いのではないのか、と思うのです。玉砕するという極限状態が前提であるので、各人物の心理描写の書き込みが浅くても、歴史的背景についての説明がなくても、説得力はあるのですが、もう少し描いても良いのでは、と思ったりもしました。でもなにより、やっぱりハリウッドの映画は善くも悪くも、伝える力を持っています。この数年で、価値のある映画の一つだと思いました。

最後に

渡辺謙演じる栗林中将のアメリカでの暮らしの回想の中で、ある夫人から「あなたは日米で戦争が始まったら、私たちと戦うの?」という旨の問いかけがありました。これこそまさに、僕が開催する異文化交流プログラムの中で、自分自身が様々な国の人と交流を重ね友達になる中で、常に思い、考えさせられていたことです。

栗林中将の答えは「自分の信義に従うのみ」でした。もちろん、自分の信義イコール国家の進むべき道であったわけです。

さて、今の時代において、僕たちの答えはどうあるべきか・・・。

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